総合病院や大学病院などの大きな病院では、看護師の人事異動があります。病院によって異動時期はまちまちなようで、年に1回だったり、3回ぐらいなどというところもあるようです。一番多いのは、なんといっても春。年度替わりの4月ということが多いようです。
患者として訪れていた総合病院でも、春になると、慣れ親しんだ看護師さんの姿が見えない…ああ、異動したんだな、ということがありました。看護師さんのキャリア形成、経験を積むこと、自分の適性を見極めていくこと、腕を磨くこと、慣れ過ぎて惰性に陥らないこと、そのために、人事異動をして、たくさんの科の看護を経験することは大事なことではないかと思います。
患者の立場からは、顔をよく知っていて、こちらの名前がわかっていて、病状やいろいろな背景を把握したうえで対応してくれる、顔なじみのベテラン看護師さんがいてほしい、馴染んだ人がいなくなってしまって「話が通じにくくなった」などということもなきにしもあらず、異動は少々残念な面もあります。
一方の看護師さんにとっても、異動が必ずしも自分の意思と同じ、自分の希望に沿ったもの、ということになるわけではありません。春の異動シーズン前になると、いろいろ落ち着かなくなったり、そして実際辞令が出てガッカリしたり、中にはそれがもとで不適応やストレス性の病気になってしまう…ということもあるようです。ネット上にも、現場の看護師さんのお悩み相談、愚痴、ブログでの独り言など、大変そうな様子が書かれている文章に行き当たります。もちろんこのようなことは、一般の職場でもあることで、医療現場だけの問題ではありませんが、特に人の命を預かり、病者の看護に携わる職種においては、異動における問題が生じにくいように、人事を管理する側がキメ細かいフォローをする体制を整えてほしいと思います。看護師さんのやる気をそぐようではもったいないですし、いやいや、びくびく看護をされてしまっては、患者として困ったものだからです。